フランス映画のような恋をした『窮鼠はチーズの夢を見る』、

 

 

 

 

観てきました。

 

 

9/11に公開された

大倉忠義成田凌主演映画、

『窮鼠はチーズの夢を見る』

 

 

 

 

先に言っておきますが映画・原作共にネタバレ含みます。

 

 

 

そして私は記憶力がゴミなので、

作中のセリフは全てなんとなくです。

 

 

一言一句は覚えられん。

 

 

 

 

9/11に公開されてから6日後の本日鑑賞してきた

わけですが、

先にTwitterでのみんなの感想を見てたわけで。

 

 

 

 

公開日、意気揚々と

 

「窮鼠観てきます!」

 

って言って観てきたみんなね、尽く

 

「切ない…」

 

「苦しい…」

 

「鑑賞後しばらく放心してた…」

 

 

 

と、憂いを帯びて帰ってきたんですよね。

 

 

 

 

窮鼠、一体何が待ってるの…………………………

 

 

 

と少々怯えながら劇場へ向かいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

『窮鼠はチーズの夢を見る』

水城せとなさん原作のコミックで、

サラリーマンの大伴恭一(大倉忠義)と

大学時代の後輩の今ヶ瀬渉(成田凌)の

“恋の物語”です。

 

 

 

優柔不断な性格から不倫を重ねてきた

広告代理店勤務の大伴恭一の前に、

卒業以来会う機会のなかった大学の後輩・今ヶ瀬渉が現れる。

今ヶ瀬は妻から派遣された浮気調査員として、恭一の不倫を追っていた。

不倫の事実を恭一に突きつけた今ヶ瀬は、

その事実を隠す条件を提示する。

それは「カラダと引き換えに」という耳を疑うものだった。

恭一は当然のように拒絶するが、

7年間一途に恭一を思い続けてきたという

今ヶ瀬のペースに乗せられてしまう。

そして、恭一は今ヶ瀬との2人の時間が

次第に心地よくなっていく。

 

https://eiga.com/amp/movie/90758/より引用)

 

 

 

リアルな世界観と心理描写で共感を呼ぶ、

同性愛が扱われた作品です。

 

 

 

同性愛と異性愛

 

この作品では言わば「ゲイ」と「ノンケ」ですが、

 

 

デリケートというかなんというか

私が恋愛感情を抱くのは男性ですし、

周りに所謂同性愛者の方がいたこともあります。

 

 

 

だけど私はあくまでも当事者(って言い方変かもしれないけど)

じゃないから知識もないし、不用意に

人を傷つける発言はしたくないし、

同性愛ってこうだよね、みたいな言及はしたくないから

しません。

 

 

 

 

でも、ああいつか

 

“同性”愛、“異性”愛なんて言葉はなくなれば

いいのになあなんて

 

考えてました。

 

 

 

どっちにしろ愛じゃん。

 

 

 

きっとこんなに簡単に言えることではないんだろうけど。

 

 

 

 

結末から申し上げると、

 

決してハッピーエンドではなく、

バッドエンドでもない。

 

 

真っ暗闇でもなければ眩しい光に包まれていたわけでもない結末でした。

 

 

 

全貌をネタバレ解説できるほど考察力はないので、

映画を観ていて個人的に気になったところとか、

好きなシーンをピックアップして

感想をつらつら書いていきます。

 

 

 

 

 

 

ハーメルンの笛吹き男にホイホイついていく

鼠のような男・大伴恭一

 

 

 

 

物語は、興信所に務める今ヶ瀬が

恭一の妻である知佳子に、「恭一の身辺調査をしてくれ」

依頼を受け、恭一を調査しているところから

始まります。

 

 

 

 

まんまと不倫の証拠を掴まれた恭一。

そんな恭一を今ヶ瀬は、

ばらさない代わりにと恭一の身体を求めるのです。

 

 

 

恭一は不倫をするような男なので言わずもがな

クズですよね。

 

 

 

不倫する人ってほんとに不誠実。

 

 

 

って思ってたんですけど、

私はこの作品を見て、

「誠実な人は不倫するんだ」と思いました。

 

 

 

 

クズって言葉で片付けてしまえば簡単で、

例えば経済力がない、包容力がない、

生活力がない文字通りのクズは実際に存在しますし、

不倫するような奴の中にもそんな人は存在します。

 

 

 

でも恭一はそういう面では全くの「クズ」ではない。

 

 

 

 

きっと勤めてるところも一流企業なんでしょう。知らんけど。

 

 

 

作中で誕生日を迎えた今ヶ瀬が27歳。

設定ではその2歳上だから恭一は29歳。

 

 

 

若くしてなんか、めっちゃ偉そうな席に

座ってましたよね。

なんかお誕生日席みたいな。(伝われ)

 

 

 

 

仕事もできる、同僚や上司や部下からも慕われている。

 

 

 

 

これは映画では出てこない描写ですが、

妻の知佳子は恭一の稼ぎでバンバンカードを使い

バンバン買い物してます。

 

 

 

(あと原作の知佳子なんか嫌な感じ)

 

 

 

稼ぎも相当いいんでしょう。

 

 

 

 

恭一はこのあたりを見ると社会的地位の高い男と言えます。

 

 

 

そんでもって顔がいい。顔が良すぎんか?

 

 

 

あんなん上司にいたら不倫するとまでは言わんが

たとえ会社から徒歩5分圏内のマンションに

住んでたとしても

出社の5時間前に起きて

毎日しっかり化粧して身なりを整えて仕事場に

行かないといけなくなるので、

私の職場に大伴恭一がいなくてよかったです。

 

 

 

 

だからそういう、全くの第三者

恭一の職場の人間で、恭一のそういう上辺だけを

見てる人からしたら恭一はすごく「誠実」

そして「優しい」

 

 

 

私だったら軽率に

「大伴さんみたいな良い旦那さんと結婚して、奥様は幸せですね〜!」

みたいな社交辞令言っちゃうくらいには。

 

 

 

 

 

結局、知佳子に不倫の事実を知られたくない恭一は

「キスだけ」という条件で今ヶ瀬に

調査結果をもみ消してもらうことに。

 

 

 

「知佳子のこと大事にしたいんだ」なんて

抜かしてましたが大事にしてえなら

不倫なんてすんじゃねえですよほんとに。

 

 

 

 

しかし不倫相手にまたしてものうのうと

会いに行き行為に及ぶ恭一。

またしても今ヶ瀬に見つかってしまいます。

 

 

今別れてほしいって不倫相手に言えばいいじゃないか、

と言う今ヶ瀬に対して恭一は

 

「そんなこと言えるわけない。

そんなこと言ったら彼女がどうなるか」

 

 

 

おいおい不倫相手だろ。

お前1番大事にしたいの知佳子じゃなかったのかよ。

相手への気遣いって大事だろうけど

それとこれとは別だよ。

お優しいこと。

 

 

 

 

 

優しいんですよね。

優しくて誠実。

 

 

 

目の前の人だけに。

 

 

 

 

結局それも今ヶ瀬は知佳子に報告しなかったのですが、

なんと恭一が知佳子に「別れてほしい」

言われてしまうのです。

 

 

 

しかも知佳子には1年ほど付き合っている

別の男がいた。

 

 

 

「私がなにか言うのを待つみたいなのも

気持ち悪いの」

 

 

 

そう言われてしまう恭一。

 

 

恭一はずっと受け身でした。

自分を好きになってくれる人とお付き合いをする。

 

 

 

自分から狂おしいほどに1人の人を真剣に

愛したことがないのです。

 

 

 

そのとき目の前にいる人に優しい。

だから断れないし、好きだと言われている以上

気持ちを無下にはできない。

 

 

 

 

 

だから不倫って相手の術中に嵌りやすいのか。

相手があまりに優しくて、

今目の前にいる自分にだけ誠実だから。

 

 

 

恭一の大学時代の元カノ・夏生が言うように

恭一は

ハーメルンの笛吹き男にホイホイついていく鼠」

のような男なのです。

 

 

 

 

ハ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜なんでそんな大人に

なっちまったんだよ。大伴恭一。

 

 

 

 

 

◎傷ついたのを隠して物分りのいい人の振りをする表情が絶妙な成田凌

 

 

 

断れないし流されやすい。

優しいけど最低な男・大伴恭一の受け身な心理を利用して

今ヶ瀬は恭一の一人暮らしのマンションに

住むようになります。

 

 

 

そんな中、偶然恭一は大学時代の元カノの

夏生(さとうほなみ)と再会するのです。

 

 

 

そしてなんか懐かしくね?久しぶりにご飯いこうぜ

的なノリで食事に行く2人。

 

 

 

出たよ。これ最後やけぼっくいに火がつくパターンだよ。

絶対にこの女はまだ恭一に執着してんだろ。

しかも夏生も、恭一の流されやすい心理を上手く利用するんだ、きっと。

 

 

 

 

2人が食事しているレストランに、

元彼と現れる今ヶ瀬。(絶対に偶然ではない)

 

 

 

 

この4人での食事シーン、とても好きでした。

 

 

 

 

4人の役者の目線合戦が始まるんですよ。

 

 

 

夏生が、隣に座った今ヶ瀬のジッポーをちらり。

 

 

 

今ヶ瀬は「久しぶりに会った」というテイの

恭一をちらり。

 

 

夏生も恭一を、恭一は夏生と今ヶ瀬。

 

 

 

探り探り、お互いがお互いをチラチラ見る描写が

妙にリアルな「大人」の描写でした。

 

 

 

 

 

なんと夏生は、

大学時代から実は今ヶ瀬はゲイで、

恭一のことを好きだったのではないかと

勘づいていたのです。

 

 

 

 

そして今ヶ瀬と夏生。

2人きりでのレストランのシーン。

 

 

 

 

まるで女同士のマウントの取り合いを

見てるかのようにヒヤヒヤなシーンでした。

とても好きです。

 

 

 

 

そこで夏生は

 

 

「恭一はハーメルンの笛吹き男についていく

鼠のような男。

みすみすドブに落ちてほしくない」

 

 

と言います。

 

 

 

 

「ドブ」

 

 

という言葉を繰り返す今ヶ瀬。

 

 

 

 

夏生は完全に勝っているつもりでいるのです。

 

 

男同士の恋愛なんてありえない。

恭一はノンケ。

恭一は必ず私を選ぶはずだと。

 

 

 

 

すげえ自信だな。

 

 

 

でも、認識はそんなんなんですよね。

なんか切なくなった。

 

 

 

 

恭一がその場に現れ、

結局夏生と今ヶ瀬どちらを選ぶのかという話になり、

 

 

自分で決められない、相手を無下にはできない、

受け身の恭一にそんな逃げ場も与えずに

答えを迫るやり方をするなんて。

 

 

 

今ヶ瀬ならきっとそんなことしないんでしょうね。

 

 

 

恭一は結局、

 

「お前を選ぶ訳にはいかないよ」

 

今ヶ瀬を突き放してしまいました。

 

 

 

 

「お前を選ぶ訳にはいかないよ」

 

 

 

そう言われた瞬間の今ヶ瀬の目の奥が微かに

揺らいだ。

 

 

 

揺らいで、確実に傷ついたのに、

それを隠すようにふっと乾いた笑いを零して言った

「そうだよね」があまりに苦しかった。

 

 

ああなんて切ない顔をするんだよ。

 

 

苦しすぎて返事が「そうだよね」だったかどうか

記憶が曖昧です。(記憶力ゴミでごめん)

 

 

 

 

 

 

 

役者・成田凌の真髄を見たって感じでした。

素晴らしい。

 

 

あの時の成田凌の、いや今ヶ瀬の一瞬揺らいだ

瞳が忘れられん。

あの表情が、あのときの今ヶ瀬の気持ちを考えると

なんともいえない虚無感に襲われる。

 

 

 

 

もうしんどい。

 

 

 

 

◎“同性愛”に対するこの国の世間の目がキツいのがリアル

 

 

 

 

同性愛者と好きな人が被った時、

異性の方が圧倒的に勝ち目はある。

 

 

 

夏生の先程の言葉や態度にそれが表れていました。

 

 

 

悲しいかな、

絶対に勝てると思っていたんですね、夏生は。

 

 

結局その場では選ばれましたが。

 

 

 

 

ホテルに行くも、恭一は機能しなかった。

 

 

 

呆れた夏生は出ていってしまいます。

 

 

 

 

今ヶ瀬の誕生日の祝いにと

北京ダックの店に2人で歩いて向かっているシーンで、

 

 

恭一が今ヶ瀬の肩に腕をまわし仲良く

並んで歩いているのですが、

すれ違う2人組の女性がそれを見て何やらヒソヒソ話。

 

 

 

何?あの人たちゲイじゃんwwwとでも

言ってんの?

別に肩組んで歩くくらい男同士してても変じゃなくない?

女だって友達と手繋いだり腕組んで歩いたりするじゃん?

それに不倫や浮気じゃなければ誰が誰と恋愛しようが

あんたらには関係なくない?なんなの?

散れ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

とその2人組の女に思うくらいには

恭一と今ヶ瀬、2人で幸せになれや…と思ってました。

 

 

 

さっきの夏生の言葉もそうだったけど、

これが今の日本の、同性愛の見方なんだなって

思ってしまいました。

 

 

 

 

だからこそ、こういう切ない恋物語

なるんだろうし、

こういう作品は生まれるんだろうけど。

 

 

 

 

なんだか、多様性を認められるようになればいいのにね。

 

 

 

 

私は無知だ。

所謂同性愛者ではない。

無知は人を傷つけることがある。

だからわかったような口は聞きたくないけど。

 

 

 

ただ純粋に、

そんなに一人の人を愛することの何が悪いんだろう。

とは思う。

 

 

 

1人の人間の“愛”として、なぜ性別が違うから

認められないんだろう。

 

 

 

そういえば、夏生やその2人組の女性は

あからさまに引いていたというか

偏見があったが、恭一にはあまりそれを感じなかった。

 

 

 

 

「お前と俺とでは住む世界が違う」

 

 

みたいなことは確かに言っていたけど。

 

 

 

なんとなくの推測でしかないけど、

恭一は気づいていたのかな。

大学時代から、夏生と同じように気づいていたのかな。

今ヶ瀬の気持ち。

 

 

 

 

最初に今ヶ瀬に揺すられていたときは

不倫の事実を揉み消すために仕方なかったとはいえ、

 

 

 

離婚が成立し、一人暮らしを始めた恭一のもとに

転がり込んできた今ヶ瀬を

いくら断れない性格だとしても偏見を持つ人間が

あんなにも受け入れるのか。

 

 

 

 

原作では、そのときの恭一の心境が

細かく描かれている。

 

 

 

恭一は意外にも今ヶ瀬との生活に

満足していた。楽だったから。

 

 

 

 

楽だったって理由だけで今ヶ瀬を置いていた

感じには見えなかったけどね〜〜〜〜〜〜〜〜

映画ではさ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

あと、恭一の部下の岡村たまきちゃん。

たまきちゃん最初からめっちゃ恭一のこと

好きなんだけど、

そのたまきちゃんがある朝タクシーから

これまた恭一の会社の上司のおじ様と一緒に

出てきてしまうシーンがあって。

 

 

 

その後恭一はその上司に呼び出されて、

今朝の、たまきと一緒にいた自分を

どう思ったか、いい歳して若い女に入れあがってる

色ボケジジイだと思ったかなんとか聞くんですが。

 

 

 

恭一はそのとき、

 

「自由じゃないですかね」って言うんです。

 

 

 

いやまあそりゃね?

「いい歳こいて若い女に手ぇだすとかありえんくね?

ヤバいっしょおっさん」とは

思ってても言えないだろうけどさ。

 

 

 

あまりにスっとその言葉が恭一から出てきたから、

ちょっとびっくりしちゃった。

 

 

 

 

結局たまきとその上司は、上司の内縁の妻の子、

つまり親子関係だったんですけどね。

 

 

 

 

 

「自由」という言葉がスっと出てきた恭一は

ただ誤魔化しが上手いだけなのか、

はたまた自分と今ヶ瀬の関係に対しての

言葉だったのか。

 

 

 

 

◎所々散りばめられる言葉の一つ一つが2人の現状と重なっていく切なさ

 

 

 

①これから起こることを理解しようとしないで

こっちの世界でも難しいことなの。

 

 

 

 

私が気になったシーンなんですけど、

恭一が夏生を選んで、でも夏生とできなくて、

ホテルから家に帰ってきたシーンだったかな。

 

 

 

 

部屋で1人恭一の帰りを待っていた今ヶ瀬が

フランス映画を観ていて。

 

 

 

 

その映画のセリフが気になっちゃって。

 

 

 

 

今ヶ瀬はそこで恭一に、これが最後の駆け引きだと

言わんばかりに、

 

 

 

「先輩と寝たい」

 

 

「拒否られたら一生先輩には触れない」

 

 

と言葉をかけます。

 

 

 

「嫌だ」「お前とは寝ない」

そう言えば全て終わるのに、言わない恭一。

 

 

 

ハーメルンの笛吹き男についていく鼠。

 

 

こんなにもかと、ソファから腰を上げた今ヶ瀬の

腕を掴む恭一。

 

 

 

 

そのシーンで、まだテレビでは今ヶ瀬が観ていた

フランス映画が流れていて、

字幕には

 

 

『これから起こることを理解しようとしないで』

 

『こっちの世界でも難しいことなの』

 

 

 

と、映し出されていました。

 

セリフうろ覚えだけど。こんな感じのこと言ってた。

 

 

それがなんだか、これからの恭一と今ヶ瀬を

暗示した言葉のように思えてすごく引っ掛かった。

 

 

 

 

すごく、難しいこと。

 

 

 

これから起こることを理解しようとしないで。

 

 

 

私それからずっと、その字幕の言葉を

脳内で反芻させてしまってたんですよね。

もう既に難しかったから、2人の関係が、私には。

 

 

 

②誰かを好きになりすぎると、自分の形が保てなくなって壊れる

 

 

 

今ヶ瀬はずっと苦しかった。

 

 

 

ようやく恭一と結ばれても、一緒にいても。

 

 

 

 

恭一はノンケだから、

いつか他の女性のところに行ってしまうんじゃないか。

 

 

 

それを上手く隠そうとして、でも隠せなくて

恭一はそれをわかっていた。

 

 

 

 

結局、「あなたは僕じゃだめ」

お別れしてしまいます。

 

 

 

(確かこんなセリフだったよね…?)

 

 

 

そして別れたあと、恭一はたまきと

付き合い始めるのですが。

 

 

 

 

今ヶ瀬はせめてこれだけはと

吸殻の残っている灰皿を

恭一の家に置いていってしまいます。

 

 

 

 

さらさら隠す気もない恭一。

たまきちゃんそれ見ちゃうじゃん。

 

 

 

「タバコ吸うんですか?」って言われて

「前の人が置いていった」って

言っちゃうんじゃん!!!!!!!!

言うのかよ!!!!って思っちゃった。

 

 

 

 

「大人でクールな女性なんでしょうね」なんて

強がって笑うたまきちゃん、健気…

 

 

 

 

あとねまあこれは仕方ないんだけど

女性だって決めつけてるのがまたね、複雑で。

 

 

 

 

たまきちゃん、

今ヶ瀬も着ていた恭一の部屋着のパーカーを

着て、今ヶ瀬が座っていた椅子にちょこんと

座るのですが、

 

 

恭一はそんなたまきちゃんに、「おいで」

手招きします。

 

 

 

 

なんとなく、今ヶ瀬の座る場所に

座ってほしくなかったのだろうか。なんて

考えてしまった。

 

 

 

 

恭一の腕にすっぽり収まるたまきちゃんが言った

 

 

 

『誰かを好きになりすぎると、

自分の形が保てなくなって壊れるんですよね』

 

 

 

 

 

壊れたんだ。

恭一も、今ヶ瀬も、

たまきも。

 

 

 

 

恭一がたまきと婚約をしたと知った今ヶ瀬は、

恭一に会い、

 

 

「傍においてほしい。

結婚も邪魔する気はない。

月に1度、半年に1度でいいから」

懇願します。

 

 

 

流されやすい、断れない。

いつも受け身の恭一ははっきりと

 

「いらない」と言ってしまいます。

 

 

今ヶ瀬も言っていましたが、

なぜそれを最初に言ってやらないんだよ。

 

 

 

最初から、それが言えてる男なら。

傷つける人は少なかっただろうに。

 

 

 

知佳子のことも、今ヶ瀬のことも、

不倫相手のことも、傷つけたくないみたいに

言ってたくせに、

最初から言える言葉が言えてたら、

傷つけずに済んだんだよ、恭一。

 

 

 

「傍においてほしい」

 

 

そう言った今ヶ瀬は、

恭一を好きになりすぎて自分の形を保てなくなっていた。

 

 

 

 

そんな恭一も、

 

 

所謂「ハッテン場」と呼ばれる、

男性同性愛者の出会いの場に足を踏み入れるのですが、

 

 

ノンケの恭一がなぜハッテン場に向かったのか。

 

 

 

最初、今ヶ瀬を探しているのかと思いました。

 

 

 

原作では今ヶ瀬が

「ヤケになってハッテン場で出会った男に抱かれたことがある」

と言っていたのを気にしてか

「ハッテン場」という言葉を検索していたから。

 

 

 

だからまたここにいるのではないかと思って

来たのかな、って。

 

 

 

 

でも、もしかしたら試したのかな。

今の自分がどっちなのか。

 

 

 

 

結局その見た目の美しさから割と

男性に声をかけられましたが、違うんだと

わかってしまった。

 

 

 

今ヶ瀬だけだ。

 

 

 

わかってしまった恭一も、自分の形が

保てなくなっていたのかもしれない。

 

 

 

 

 

そしてたまきちゃん。

 

 

 

結局、たまきちゃんと婚約してからも

今ヶ瀬と会ってしまい、すすんでそういう行為も

してしまった恭一。

 

 

 

今ヶ瀬に「一緒にいよう」と言います。

たまきとも別れると。

しかし今ヶ瀬には拒否されてしまいます。

「らしくない」と。

 

 

 

なんで拒否っちゃったの?

好きなんでしょ?一緒にいればいいじゃん、

なんて思いましたが、

今ヶ瀬はやっぱり怖かったのかな。

いつか女の人のところに行かれてしまうのが。

わかんないけど。

 

 

 

結局今ヶ瀬にはまた離れられてしまいましたが、

恭一はたまきと別れることを選びます。

 

 

 

別れと、恭一が忘れられない人が帰ってきたという

ことを告げられるたまき。

 

 

 

たまきもまた、

「その人がまた帰ってくるまでの間でいいから

一緒にいさせてほしい」と懇願します。

 

 

 

 

そんなの、いいわけないじゃんね。

 

 

 

たまきもまた、形を保てなくなって壊れたんだろうな。

 

 

 

 

 

たまきちゃん、幸せになってくれ………………………………

 

 

 

③心底惚れるって、全てにおいてその人が例外になっちゃうってこと

 

 

 

 

 

時間軸は戻りますが、

今ヶ瀬が同棲していた恭一のマンションを去る前、

別れ際に2人で夜明け前に海に行っていたのです。

 

 

 

 

そこで今ヶ瀬が言っていたセリフ。

 

 

 

『心底惚れるって、全てにおいてその人が

例外になっちゃうってことなんですね』

 

 

 

 

 

 

 

 

わっっっっっっっっっっっっっっかる………………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

これはオタク心騒ぎ出す。

オタクもだいたいこれ。

 

 

 

あとさどの場面か忘れたけど

今ヶ瀬がね、

 

 

『あの頃、先輩の煙草になりたかった』

 

『煙草になって、先輩の指に挟まれたかった』

 

 

って言うんですけど

めちゃくちゃわかりみオブザイヤーじゃない??????????

 

 

 

これ聞いた時私の心が

わ、わ、わ、わ、わかる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

って叫んだもんね。

 

 

 

 

私も今まで何億回「安田くんのマイクになりたい」って

思ったことか。

 

 

 

わたがしになりたい僕じゃん。

 

 

 

 

まあ私の場合、安田くんに

「私安田くんのマイクになりたかったんですよ。デュフフ」

って言ったところで安田くんは私の頬を指で

優しくなぞり、

「馬鹿だねえ」なんて言わずに

警察に通報されて終わるんでしょうけどね。

 

 

 

 

 

 

そんなんどうでもいいのよ。

 

 

 

 

さっきの、ハッテン場のシーンなんかとくに、

 

 

恭一は今ヶ瀬が“例外”だって分かってしまったんですから

心底惚れてるんでしょうね。

 

 

それがわかったから泣いちゃったのかな。

知らんけど。

 

 

 

 

今ヶ瀬は今ヶ瀬で、別れ際の海岸で、

 

 

 

「先輩みたいな人間は1番嫌い」だと

言っています。

 

 

 

 

でも今ヶ瀬にとっても恭一は例外。

心底惚れてるから。

 

 

 

この海岸でのシーン、とても良かったです。

夜明け前の海で、朝日は登るのに

2人は終わっていく。

その対比が美しかった。

 

 

 

 

 

◎バッドエンドでもハッピーエンドでもないエンディング

 

 

 

 

結局恭一はたまきと別れ、今ヶ瀬がいない部屋で

1人、今ヶ瀬が置いていった灰皿を洗います。

 

 

 

 

カーテンも、たまきと選んだ青いカーテンを外して

今ヶ瀬と暮らしていた時からの灰色のものに変えて。

 

 

 

 

 

灰皿をテーブルに置いた恭一は、

いつも今ヶ瀬が座っていた椅子に座ります。

そのときの表情、

なんか、スッキリしているように見えました。

 

 

 

 

戻ってくるかわからない想い人を待つときって

もっと苦しいもんじゃない?

でも恭一はスっとしてるんですよね。

 

 

 

 

今まで受け身で、好いてくれる人と付き合って、

能動的に人を本気で愛したことがない恭一にとって、

 

 

誰か1人と付き合ったり結婚したりする中で

上手く他の人と繋がるのではなく、

全て清算して一人の人を想うことができるように

なったということは、なんというか

そんなに清々しいような気持ちになったのかな、なんて。

 

 

 

 

スッキリした表情に見えたのは私だけかもしれんけど。

でもなんとなく、覚悟を決めたように見えました。

 

 

 

 

原作では、1度同棲中に今ヶ瀬が出ていって、

2ヶ月も戻ってこないみたいな場面があるんですけど、

 

 

その際に今ヶ瀬は、

「この2ヶ月間苦しかった。

連絡もこないし、24時間ずっと待っていた」

みたいなことを言ってましたが(うろ覚え)、

 

 

 

待つ=苦しい

だった今ヶ瀬と、ラストシーンの恭一が

対比のように感じました。

 

 

 

 

 

でも今ヶ瀬にとっては決して

ハッピーエンドなんかじゃなくて、

むしろバッドな方で、

でも恭一は?

 

 

 

ハッピーではないけど、決してバッドでもない

終わり方だったな。

 

 

 

 

その先を想像させるような、

言うなら恭一の表情で少しだけこちらに

希望を持たせてくれるような。

 

 

 

今ヶ瀬は戻ってくるかもしれないっていう希望。

 

 

 

 

 

まあ戻ってくるんだろうけどね。

 

 

 

原作読了済の友人が、終わってから

「なんで原作と同じで今ヶ瀬が戻ってきて

ハッピーエンドにしなかったんだろう」

って言っていたんですけど、

 

 

 

確かにね〜〜〜〜〜〜〜

これは男女の恋愛でもそうだけど

好きなのに離れるって描写よくあるじゃん。

 

 

 

 

 

だから単純思考な私は、

「なんで?今ヶ瀬戻ればいいじゃん」

なんて思っちゃうところもあるんですけど、

 

 

 

今ヶ瀬の恭一に対する気持ちはそんな

単純明快なものではなくて。

 

 

 

未だに同性の恋愛も

そんな単純なものではなくて。

 

 

 

今ヶ瀬か観ていたフランス映画のセリフ、

 

 

「これから起こることを理解しようとしないで。

 

こっちの世界でも難しいことなの。」

 

 

が全てなのかな。

 

 

 

 

◎表情の動きで微妙な感情を表現する大倉忠義成田凌が凄かった

 

 

 

 

なんか今までつらつら感想述べてきたんだけど、

私自身行定勲監督のインタビューとか、

ネタバレとか、

鑑賞済の方の感想ブログとか、

そういう前情報みたいなの見ずに鑑賞して、

この記事も全くの自分だけの見解と感想だから

解釈違いもあると思います。

 

 

 

でもまあ映画を観てどう感じるかはみんな違うから

面白いんだろうし、許してください…

 

 

 

 

 

作品通して、なんていうか音がとてもリアルだった。

 

 

 

音にめちゃくちゃ拘った作品なんだろうな。

 

 

 

正直めちゃくちゃ濡れ場すごかったんだけど、

その濡れ場の音も、

生活音も、

 

 

知佳子に別れよう、って言われた恭一の

生唾を飲み込む音とか、

緊迫感が伝わってきてリアルだった。

 

 

 

映画のサントラみたいなのはあっただろうけど、

なんか少なかった気がする。

 

 

 

それはたぶんリアルに近づけるためなのかなって

思いました。

 

 

 

 

サントラってあれば、楽しい描写とか

悲しいとか緊張するとか伝わりやすいけど、

この映画はそういうサウンドには頼らずに

あくまで生活音で勝負していたような。

 

 

 

 

あと、楽しい・悲しい・苦しい・切ない・緊張するみたいな

そういう描写は役者の表情でよく表現されてた。

 

 

 

 

成田凌くんと大倉忠義さんの表情の使い方とか

すごい細かかったし、それがより

リアルさを膨らませてたな。

 

 

 

 

 

 

あとこれは言いたい。

とにかく濡れ場すごい。

 

 

 

ジャニーズでそんな濡れ場するん?ってぐらい。

マジで男性器以外出てた。(急に品のない話するな)

 

 

観る前に

「濡れ場がすごい。『娼年』レベル。

これはR15ではない、もっと上」ってのは

小耳に挟んでたんですけど。

 

 

 

 

娼年』レベルって相当では?と思ったが

まあ筆頭しますよね。

 

 

 

でも『娼年』は身体を売る青年の話だから

もっと濃厚で回数も多く長時間だったけど、

 

 

なかなかでした。

でも「うっわ…」って感じはなく、

普通に観られます。人によるけど。

 

 

 

 

でも15禁じゃないよあれは。

私が15、6歳であれ観てたら絶対に鑑賞後

2時間はその場動けなかったと思うわ。

 

 

 

 

 

 

あとさこれはeighterに問いたいんだけどさ、

 

 

今ヶ瀬と恭一が屋上で乳首あてゲームして

じゃれあってるところあるじゃないですか。

 

 

 

あそこで、向かいの屋上みたいなとこから

おばさんが怪訝そうな顔で2人を見るところ。

 

 

 

 

あのおばさん、

8UPPERSで大倉くん演じるジョニーが

バーで情報聞き出してたおばさん??????????

 

 

 

 

友達が映画終わってから、

「あれパッチの、あの人だったよね?」って

言ってて、私はわからなかったんだけど

 

 

 

それ確認しにもっかい見たい………………………

 

 

 

ないしはもしこれから観る人いたら教えてください………………………

 

 

 

 

 

あと、ラストシーンをどう感じたかとか。

 

 

 

私の周りでは割と、

「泣けた」「余韻がすごい」という感想が

ちらほらありました。

 

 

 

個人的な話をすると私の目からは涙は出なかったです。

 

 

ごめんなさい。いや謝ることじゃないと思うけど

ほんとに私の恋愛観が単純で楽天的なので

あんまりラブストーリーで涙したことないんですよね。

 

 

 

だからこれは個人差です。

 

 

 

観終わったあとも、友達と観てたんですが

2人で「原作とここをどう変えたのか」

「原作では同窓会行ってるよね〜」みたいな

話も普通にしてたし、

バチバチの濡れ場も友達と観ても私は気まずくは

ならずに「すごかったな〜」って話してた

くらいなので、これも個人差。

 

 

 

 

ただ1人になってからは

「ちょっと今窮鼠のことだけ考えさせて」

なりました。

 

 

 

深く考えたい作品だった。

 

 

 

あと私割と切ない結末とかに耐性あるんじゃない?

大倉くんのこと見ても私平気なのでは?って

観た当日は思ってたんですけど、

 

 

 

窮鼠鑑賞後初めて今ライブ映像観たんですよね、関ジャニさんの。

 

 

 

 

 

苦しい。

 

 

 

 

大倉くんの顔まともに見れん。

 

 

 

 

大倉くん見ると切なさぶり返してくる。

 

 

 

 

全然平気ちゃうやんけ。

 

 

 

 

『窮鼠はチーズの夢を見る』

後からジワジワ切なさと苦しさが襲ってきます。

 

 

 

 

今これ書いてる時間ずっと苦しい。しんど。

 

 

 

 

もうあの、恭一に

「お前を選ぶ訳にはいかないよ」って言われた時の

 

 

今ヶ瀬の表情が脳裏にこびり付いて離れない。

 

 

 

 

恐るべし役者だよ2人とも。

 

 

 

 

同性の恋愛にはまだまだ偏見とか、様々な

障害がある世の中だけど、

だからこそこんな切ない物語が生まれて、

刹那的な美しさみたいなものが表現されるんだろうけど、

 

 

この世界のどこかにいる今ヶ瀬と恭一のような

2人からしたら、そんな切なさも苦しさも

いらないわけで。

 

 

 

人を愛することができるって

素晴らしい能力なのに、

どうして愛する人は異性じゃないと

おかしいと考えるんだろう。

 

 

 

不倫や浮気、許されない恋愛はもちろんある。

 

 

 

どうして人は、とくに日本人は

人と同じことをしたがるのに

性別が同じ人同士の恋愛にはいつまでも

偏見を持つのだろう。

 

 

 

そこの「同じ」は人と「違う」からか。

 

 

 

違わないよ。どっちも愛だもん。

 

 

 

 

 

これは私が楽観的なだけか。綺麗事か。

ごめんなさい。

誰かを傷つける発言かもしれない。

 

 

 

でも多様性が認められる世の中になってほしいよ。

 

 

 

住む世界が違うなんて、

同じ世界に住んでて誰にも思ってほしくないな。

 

 

 

これ以上考えないようにしよう。

 

 

 

理解しようとしないでおこう。

 

 

難しいことだからね。

 

 

 

 

 

 

私も今、原田マハさんと同じ気持ちです。

 

 

 

『窮鼠はチーズの夢を見る』

絶賛公開中です。

是非!!!!!

 

 

 

 

大倉くん、成田くん、

他キャストのみなさん、そしてスタッフの方々、

原作者の水城せとなさん、

行定勲監督、素晴らしい作品を手がけてくださり

ありがとうございました!

 

 

 

 

 

 

窮鼠はチーズの夢を見る オールインワンエディション (フラワーコミックスαスペシャル)

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俎上の鯉は二度跳ねる リブートエディション (フラワーコミックスアルファスペシャル)

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